「サトウキビ畑」 という曲をご存知だろうか? あの、「ざわわ、ざわわ…♪」 の歌である。
昨今、サトウキビ畑の著名な歌い手といえば、おそらく森山良子の名が挙げられると思う。口が悪い輩は彼女を 「ざわわオバサン」 と呼ぶらしいが、実は、広い世の中にはなんと 「ざわわオジサン」 なる者も存在していた。しかして、その正体は…なんと、上條恒彦であった。
1967年、
新居浜文化センターで田代美代子が初めて歌ったと言われているこの歌…森山良子は、どちらかといえば現在から過去をふり返って歌っているイメージがする。対してこのアルバムでの上條恒彦は、過去を背中に背負いつつも、顔は現在から未来に向いているように思える (この違いは、両者を聴き比べてみると一層はっきりする)。上條さんのこの解釈は、なかなか新鮮で面白かった。
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上條恒彦のサトウキビ畑というのも意外性があって良いが、もう一曲、襟裳岬にも意表をつかれた。
どちらかというとこの曲は、上條さんのように朗々と歌うタイプの人には向かない曲だと思っていた。曲をヒットさせた森進一のように、どこかに陰のある個性的な歌い手が歌う歌だと思っていた。ところが、こちらのそんな思い込みを嘲笑うように、いともアッサリと歌いこなしている。いや、脱帽。
意外性に富んだ 「ざわわオジサン」。こんなに良い意味で期待を裏切ってくれるのであれば、一人のリスナーとして非常に嬉しく思うし、もっともっと彼の歌を聴きたい、聴いていたいと思う。
ああ…そうそう。私にとって最大の 「意外」 はですね、上條恒彦が 「宇宙刑事シャリバン」 に出演していた事です。しかも主人公の父親役!
ギャバンに叶和貴子が出ていた事は有名ですが、彼女だけではなかったんですねぇ。
1996 ファーストサークル FC-1001
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①いぬふぐり ②サトウキビ畑 ③雨よふれ ④ショウは終った ⑤だれかが風の中で ⑥(マジェラン星雲で聞こえた)父が息子に与える歌 ⑦橋はいつも ⑧わたしが一番きれいだったとき ⑨冬の歌 ⑩襟裳岬 ⑪玄蕃之丞 ⑫冬の森にて ⑬雨のベラルーシ ⑭(SONG FOR HIROSHIMA NAGASAKI)PEACE IN HARMONY ⑮おやすみ
※ディレクター/小室 等
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自主制作盤なので、はたして現在でも入手可能なものかどうか? (ちなみに、私はネットオークションで中古を見つけて入手しました)